トレイルランニングの大会に向けて、日々の練習を積み重ねることはもちろん重要ですが、レース直前の「テーパリング」も大会成功に向けた鍵となります。テーパリングとは、大会の数週間前から徐々に練習量を減らし、身体を回復させながらピークパフォーマンスを引き出す調整期間のことです。この調整を適切に行うことで、疲労を取り除き、筋力や心肺機能のピークを大会当日に合わせることが可能です。
今回は、トレイルランニング大会に向けて、4週間前からテーパリングをどのように進めるか、1週間ごとの具体的な練習量や意識すべきポイントについて詳しく説明します。
4週間前:最後の追い込み
大会4週間前は、まだしっかりとトレーニングを行う時期です。この週は最後のハードなトレーニングを行い、体力と持久力を最大限に引き上げておくことが目標です。
1. 練習内容
長距離ラン
週末に最も長い距離のランニングを行います。距離は大会で走る距離の70〜90%程度を目安にします。これにより、レース当日に必要な持久力を確認し、疲労耐性を向上させます。
ペース走・インターバル
平日にはペース走やインターバルトレーニングを行い、スピード強化も図ります。この時期は、レースペースに慣れることが重要です。
2. 練習量
練習量としては、普段の80〜90%を維持します。負荷はまだ高めで、しっかりと体に刺激を与える時期です。ただし、怪我を防ぐためにも無理は禁物。疲労が蓄積している場合は、積極的にリカバリーランやウォーキングを取り入れてください。
3. 意識すべきこと
栄養管理
ハードなトレーニングに備えて、栄養補給を意識します。タンパク質、炭水化物、ビタミンをバランスよく摂取し、身体の回復をサポートしましょう。
休息
この週を終えたら、徐々に練習量を減らすことになります。身体の声をよく聞き、適度な休息をとることも忘れないでください。
3週間前:負荷を徐々に減らし始める
大会3週間前からは、トレーニングの強度と距離を少しずつ減らしていくフェーズに入ります。この段階から疲労を回復させながら、コンディションを整えていくことが重要です。
1. 練習内容
中距離ラン
この週は、長距離ランニングの距離を少し短縮します。大会距離の50〜60%程度の距離を走り、強度は少し落としつつも、レースペースでの走りを意識します。
スピードワーク
平日は引き続き、インターバルトレーニングやテンポ走を取り入れますが、負荷はやや軽めに設定します。
2. 練習量
全体の練習量は普段の70〜80%に減らします。特に長距離走の距離を少しずつ減らし、無理なく走れる範囲に収めます。
3. 意識すべきこと
疲労回復を意識する
この段階で身体の疲労を感じることがあるかもしれません。ストレッチやマッサージ、アイスバスなどのリカバリー手段を取り入れて、疲労の蓄積を防ぎましょう。
メンタル面の調整
大会に向けて、モチベーションや集中力を高める期間です。大会当日のシナリオを頭の中でイメージし、ポジティブな思考を維持しましょう。
2週間前:負荷をさらに軽減
大会2週間前になると、トレーニングの負荷をさらに減らし、体力を温存しつつ、筋力や心肺機能を維持することが目的になります。
1. 練習内容
ショートラン
この週のランニングは、短距離に抑えます。大会距離の30〜40%程度を目安に、ゆっくりとしたペースで体を動かします。
ペース調整
スピードを上げるトレーニングは少しずつ減らし、持久力を維持するためのペース走を週1〜2回行う程度にします。大会ペースで5〜10kmを走り、ペース感覚を確認しておくと良いです。
2. 練習量
全体の練習量は普段の50〜60%に減らし、体力を温存します。この時期は、しっかりと身体を回復させるため、疲労を感じない程度に走ることが大切です。
3. 意識すべきこと
睡眠と栄養
睡眠の質を高め、十分な休息を取りましょう。また、栄養バランスを考えた食事を心がけ、特に炭水化物を多めに摂取してエネルギーを蓄えておきます。
装備の準備
大会で使用するシューズやウェア、補給食の最終確認を行います。試したことのない新しいギアは避け、慣れた装備で大会に挑むようにしましょう。
1週間前:完全な調整期間
大会1週間前は、最も重要な調整期間です。身体の疲労を完全に取り除き、大会当日に向けてフレッシュな状態を作るため、トレーニング量を大幅に減らします。
1. 練習内容
リカバリーラン
この週は、5〜10km程度のリカバリーランを数回行うだけで十分です。強度は低く、ゆっくりとしたペースで走り、筋肉に軽い刺激を与える程度に抑えます。
軽いストレッチとリラクゼーション
ストレッチやヨガ、マッサージを取り入れ、体全体のリラックスを図ります。疲労を溜め込まず、リラックスした状態で大会を迎えましょう。
2. 練習量
この週の練習量は普段の20〜30%に減らします。身体を動かしすぎないようにし、心身を休ませることが最優先です。
3. 意識すべきこと
レース戦略を確認
レース当日の戦略を再確認します。どのペースでスタートするのか、どのタイミングで補給を行うのかをシミュレーションしておきましょう。
食事調整
レースの数日前からは炭水化物を多めに摂取し、エネルギーを蓄える「カーボローディング」を行います。また、大会前日は消化に良い食事を心がけ、過剰な食べ過ぎは避けましょう。
休息を十分に取る
大会前日は無理をせず、しっかりと休息を取りましょう。睡眠時間を十分に確保し、リラックスした状態でレース当日を迎えることが大切です。
まとめ:テーパリングでパフォーマンスを最大化
トレイルランニング大会に向けたテーパリングは、単に練習量を減らすだけでなく、身体と心のコンディションを整え、最大限のパフォーマンスを引き出すための重要な
プロセスです。大会4週間前から徐々にトレーニング量を減らしつつ、疲労を回復させることで、レース当日にはフレッシュな状態で挑むことができます。
- 4週間前:最後の追い込み。練習量は80〜90%。
- 3週間前:負荷を軽減し始める。練習量は70〜80%。
- 2週間前:さらに負荷を減らし、50〜60%の練習量に。
- 1週間前:ほぼ休息。20〜30%の練習量で体を回復させる。
この流れに従って、しっかりとテーパリングを行い、最高の状態でトレイルランニング大会に臨みましょう。