トレイルランニングは、自然の中で自分と向き合うスポーツであり、身体だけでなく精神的なリフレッシュも得られる素晴らしいアクティビティです。しかし、山岳地帯でのランニングには予期せぬリスクも伴います。天候の急変や道に迷うリスク、体調不良など、さまざまな要因がトレイルランナーにとっての試練となります。そこで今回は、山でのトレイルランニングを安全に行うために、知っておくべき重要なポイントについて詳しくご紹介します。
1. 家族に伝える・登山届を提出する
まず、山に出かける前に必ず行うべきことは、自分がどこに行くのか、何時頃に戻る予定かを家族や友人に伝えておくことです。山岳地帯は、携帯電話の電波が届かない場所が多く、緊急時に連絡が取れない可能性があります。行き先を家族に伝えることで、もし何かあった場合、速やかに捜索を始めることができ、救助までの時間を短縮できます。
さらに、登山届を出すことも重要です。多くの登山口やオンラインで簡単に登山届を提出することができ、遭難や事故の際、迅速な対応が可能になります。登山届には、行動予定や緊急連絡先を記載するため、何かあったときにどこで捜索すべきかの手がかりとなります。登山届を出すことは、安心してトレイルランニングを楽しむための基本的な準備です。
2. 山岳保険に加入する
山でのトレイルランニングでは、転倒や滑落、体調不良など、さまざまなリスクが存在します。もしも大きな事故や怪我が起きた場合、救助活動には多額の費用がかかることがあります。そのため、山岳保険に加入しておくことは、万が一の事態に備える上で非常に重要です。
山岳保険は、捜索・救助活動にかかる費用をカバーするだけでなく、怪我をした際の医療費や緊急搬送費用も補償してくれることが多いです。保険に加入しておけば、トレイルランニング中に何かあっても安心して対応できるため、精神的にも落ち着いてトレーニングに集中できます。国内外問わず、トレイルランナーに特化した保険プランもあるので、自分のニーズに合った保険を選びましょう。
3. GPSウォッチに地図を入れる
トレイルランニングは、舗装された道を走るランニングとは異なり、山道や森林を走るため、迷子になるリスクがあります。事前にGPS機能のついたウォッチやスマートフォンに地図データを入れておくことで、自分の現在地やルートを確認しながら走ることができ、道に迷う可能性を大幅に減らすことができます。
特に、登山道が入り組んでいる山や初めて走るコースでは、地図の確認が非常に重要です。また、オフラインでも使用できる地図をダウンロードしておけば、電波の届かない場所でも現在地を確認できるので安心です。GPSウォッチは位置情報の把握だけでなく、ランニング中のペースや距離も計測できるため、トレーニング効果も高められます。
4. ココヘリなどのサービスに加入する
近年では、ココヘリ(COCOHELI)といった捜索救助用のGPS端末サービスが普及しています。ココヘリは小型の発信機を携帯し、万が一の遭難時にヘリコプターでの迅速な捜索を可能にするシステムです。これにより、救助までの時間を大幅に短縮できるため、命を守るための重要なツールとなります。
ココヘリなどのGPS発信機サービスは、山岳地域での活動が多い方には特におすすめです。万が一遭難した場合でも、発信機を頼りに迅速な捜索が行われるため、救助の可能性が高まります。年間の利用料も比較的リーズナブルで、保険のような感覚で加入しておくと安心です。
5. 食料をしっかり持参する
山でのトレイルランニングは、平地のランニングに比べて多くのエネルギーを消費します。体力が急激に低下する前に、適切なタイミングで栄養を補給することが重要です。ジェルやエナジーバー、ナッツなどの高カロリーかつ持ち運びやすい食料を必ず携帯し、定期的にエネルギー補給を行いましょう。
また、行動時間が予定より長くなることも考慮して、余分に食料を持っていくことも大切です。特に初心者は、思ったよりも時間がかかることが多いため、時間や距離を過小評価しないことが安全対策の一つとなります。
6. 暑くてもレインウェアや防寒具を携帯する
山の天気は非常に変わりやすく、晴天でも突然雨が降ることや、標高が上がるにつれて急激に気温が下がることがあります。そのため、どんなに天候が良さそうに見えても、必ずレインウェアや防寒具を携帯しておくことが大切です。
軽量な防水透湿性のレインウェアや、コンパクトに折りたためるウィンドブレーカー、防寒用の薄手のダウンジャケットなどを持っておくことで、天候の急変に対応できます。体が冷えるとパフォーマンスが低下するだけでなく、低体温症のリスクも高まるため、しっかりと準備をしておきましょう。
7. ヘッドランプ(ヘッデン)を必ず携行する
たとえ明るい時間に山に入っても、ヘッドランプ(ヘッデン)は必ず持っていくようにしましょう。山でのトレイルランニングでは、予期せぬアクシデントやルートのミスで下山が遅れることがよくあります。日没後に山道を下る際、明かりがないと非常に危険です。
ヘッドランプは、手が自由に使えるため、夜間や薄暗い時間帯のランニングにも便利です。また、予備の電池や充電器を持参することも忘れずに。夜間の山道では視界が限られるため、明るさと持続時間に優れたヘッドランプを選ぶと安心です。
8. 無理をしない:体調管理を最優先に
山でのトレイルランニングは平地よりも負荷が高く、標高の変化により体調に影響が出ることもあります。もし体調が優れないと感じた場合や、疲労が強く出たときは無理をせず、早めにトレーニングを切り上げる決断をすることが大切です。
体力やコンディションに応じて無理のないペースで走り、適度な休憩を取ることで、安全に山でのトレーニングを続けることができます。特に初めて走る山やコースでは、自分の限界を見極めることが必要です。
まとめ
トレイルランニングは、自然の中で心身を鍛えられる素晴らしいスポーツですが、山岳地帯での練習にはリスクも伴います。安全にトレーニングを行うためには、しっかりとした準備と計画が必要です。家族に行動を伝えることや登山届の提出、保険やGPSサービスの利用、適切な装備の準備など、万全の対策を講じることで、安心してトレイルランニングを楽しむことができます。安全対策を怠らず、自然と一体になりながら、山でのランニングを楽しんでください。